株
式
会
社
ワ
コ
ー
ル
ホ
ー
ル
デ
ィ
ン
グ
ス 統
合
レ
ポ
ー
ト
REACHING OUT
ワコールホールディングス 統合レポート
2012
02
20
OVERVIEW A SUSTAINABLE WACOAL
04
34
ACTION コーポレート・ガバナンス
06
37
DIRECTION 取締役一覧
38
監査役一覧
08
39
PERFORMANCE 財務セクション
10
48
トップ・メッセージ 会社概要
14
49
事業セグメント別営業概況と戦略 投資家情報
Contents
当冊子の編集方針について
当社は昨年度より、株主・投資家の皆さま向け に業績及び事業戦略を報告する「アニュアル
レポート」に、CSR活動を報告する「コミュニ
REACHING OUT
1964
年に社内外へと公表されたワコールの社是には、
「相互信頼」という言葉
があります。これは、創業者である故塚本幸一が人間尊重の精神から、従業員
との信頼関係の構築を目的に相互信頼経営を断行したことから、社是へと組
み込まれた言葉です。
以来、ワコールでは、
1946
年の創業から掲げている「女性に美しくなって貰う」こ
と、
「女性が美しくなることをお手伝いする」こと、
「女性の 美しくありたい という
願いの実現に役立つ」ことという目標の実現に向けて、従業員のみならず社会
との「相互信頼」を築き、そして何よりも世の女性との「相互信頼」を築くことを原
点に事業活動を行ってきました。
ワコールグループは、持株会社体制のもと国内外に連結子会社
47
社、関連会
社
9
社
(2012
年
3
月末現在
)
を擁し、日本国内で強固な事業基盤を築く一方、
欧米やアジアなどにおいて、グローバルに事業を展開しています。このように、
インナーウェアを通じた事業発展により自社の成長を持続させる一方で、事業
活動を通して、
「女性と共にある」ことが私たちの存在価値にもつながることを
強く認識し、
2001
年には「女性共感企業」を宣言しました。これは、すべてのビジ
ネスプロセスにおいて女性に共感し、共感される会社でありたいという意志を
表明したメッセージです。ワコールグループは、
「世界のワコール」を目指してグ
ローバルな展開を加速させていますが、それぞれの地域でも社会と共に持続
的な発展を目指す「相互信頼」の精神を忘れることなく、事業活動に取り組んで
いきます。
皆さまには、本レポートを通じて、成長の道筋を示した事業戦略に加え、社会と
の相互信頼づくりに向けたワコールグループならではの
CSR
活動も併せてご
02
OVERVIEW
oUR VIsIon
社是
わが社は相互信頼を基調とした
格調の高い社風を確立し
一丸となって世界のワコールを目指し
不断の前進を続けよう
oUR MIssIon
ワコールの目標
世の女性に美しくなって貰う事によって 広く社会に寄与する事こそ
わが社の理想であり目標であります
oUR VALUes
経営の基本方針
1
愛される商品を作ります2
時代の要求する新製品を開発します3
大いなる将来を考え正々堂々と営業します4
より良きワコールはより良き社 員 によって造られます
5
失敗を恐れず成功を自惚れませんtHe WACoAL GRoUP
MAnAGeMent PHILosoPHY
ワコールグループの経営理念ワコールは創業以来、常に女性の価値観や美意識を見つめ、時代を超えて「美」の本質を 追求してきました。
6.1%
その他
4.8%
その他の繊維製品及び関連製品
0.9%
レッグニット
9.5%
アウターウェア・スポーツウェア等
0.9%
リトルインナー
5.5%
ナイトウェア
72.3%
ファンデーション・ランジェリー
03
製品の種類別売上高比率
oUR PRoDUCts
主要製品インナーウェア
(
主に婦人のファンデーション、ランジェリー、ナイトウェア及びリトルインナー
)
、ア0 4
ACTION
tHe FootPRInts oF
tHe WACoAL GRoUP
ワコールグループの足跡1946
年、故塚本幸一が創業した和江商事がワコールグループの原点です。創業の契機となった「ブラパッド」との出会いから、 日本の女性用インナーウェア市場の発展とともに、常に社会への 貢献を果たしながら、ワコールグループは成長を遂げてきました。 ウェブサイトにより詳しい内容を掲載しています。
http://www.wacoalholdings.jp/history/index.html
1946
塚本幸一により、和江商事創業
1949
和江商事株式会社設立
1950
第1号ブラジャー「101号」の 生産を開始
1964
株式会社ワコールへ改称
1964
株式二部に上場1964
国際特許第1号となる 「タミーガードル」発売主な事業活動 主なCSR活動
1970
海外進出への第一歩 日本万国博覧会に出展1970
売上高100億円突破1964
「製品研究部」設置
(人間科学研究所の原点)
1964
「社是」「経営の基本方針」を 公式制定
1965
「ゴールデンプロポーション」を 発表/プロポーション・ メイキングの提案
1973
「社会福祉課」を設置 (1979年にリマンマ課へ改称)
1965
「ワコールの目標」を制定
1962
0 5
1977
アメリカへ進出1977
繊維業界で初のADRの発行
1981
売上高1,000億円突破
1979
売上高800億円突破
1978
公益財団法人京都服飾文化研究
財団(KCI)発足
1983
初めての減収減益、 質の経営へ転換1983
米国ワコール設立1979
「CI運動」シンボルマーク一新
1985
複合文化施設「スパイラル」 オープン
1986
北京ワコール設立1990
ワコールフランス設立
2005
純粋持株会社「ワコール ホールディングス」を設立
1979
「ビューティフル・プロポーション」 を発表
1984
新ワコール宣言 「からだ産業」を発表
1995
「ゴールデンカノン」を発表
2000
「スパイラルエイジング」を発表
2001
「Tsubomi School(ツボミ スクール)」を開始
2001
ワコール宣言「女性共感企業 ワコール」をめざして
2008
「ブラ・リサイクル」活動が 本格スタート
2002
「ワコール中国人間科学研究所」 を設立
2009
「乳がん検診サポート事業」を開始
2010
「からだのエイジングと美の法則」 を発表
2002
「ピンクリボン活動」を 推進(日本)
2010
乳房再建手術後の下着の 安全性と有用性の共同研究を 岡山大学と開始
2012
Eveden Groupを完全子会社化
1992
中央研究所を「人間科学研究所」 に改称
1991
学識者による「からだ文化 研究会」が発足(1996年に
「乳房文化研究会」へ改称)
1974
67.4%
ワコール事業(国内)
12.5%
ワコール事業(海外)
8.0%
ピーチ・ジョン事業
12.1% その他
31.9% 百貨店
38.7% 量販店
10.2% 専門・小売店
19.2% 通販・直販店
87.0%
日本
6.1%
アジア
6.9%
欧米
WA
CoAL G
RoUP oRGAnIZAtIon
ワコールグループ組織図(概要)
株式会社ワコール
株式会社新栄ワコール
(
韓国)
株式会社ルシアン株式会社ピーチ・ジョン 株式会社七彩
株式会社ハウスオブローゼ
株式会社ワコールキャリアサービス ワコールサービス株式会社
ワコール流通株式会社
国内事業子会社・関連会社 海外事業子会社・関連会社
株式会社ワコールホールディングス 0 6
WACoAL BY FIGURes
数字で見るワコール2012年3月期
セグメント別売上高比率1 販売チャネル別売上高比率
(株式会社ワコール)2
地域別売上高比率1
DIRECTION
中国・大連
製造・販売 販売のみ 製造のみ
201 2年3月現在 イギリス
フランス オランダ
韓国 台湾 フィリピン ベトナム インドネシア マレーシア
シンガポール タイ 香港 中国・広州 中国・北京
中国・上海
米国
カナダ
ドミニカ
o
UR BUsIness FIeLDs
ワコールのビジネス領域私たちワコールは自らの事業領域を〈ボディデザイニングビジ ネス〉と定めています。「身体」と「こころ」を総称して「ボディ」とと らえ、ワコールのコアコンピタンスに基づいたインティメートア
パレル事業・ウエルネス事業を通して「美」「快適」「健康」とい
う
3
つの価値を提供しています。そして、このコアコンピタンスの一つが、ワコールが長年
培ってきた「人間科学研究」です。「人間科学」の視点から、顧
客が求める価値を発見、創造し、提供してきました。
私たちは、お客さま一人ひとりのニーズを的確にとらえ、顧客 価値として編集をして、お客さまが望む顧客接点
(
売場)
を通じ てお届けすることによって、ライフスタイルからブランドを創り 上げてまいりました。ボディデザイニングビジネス
ボディフィット
快適
健康 美
人間科学研究
(コアコンピタンス)
マインドフィット
In Out
2012年3月期 持ち株比率 売上高(百万円)
ワコールインターナショナル
(
米国)
100
%
¥
10
,
475
ワコール
(
中国)
時装100
6
,
020
香港ワコール
80
1
,
922
ワコールフランス
100
1
,
194
ワコールシンガポール
100
695
フィリピンワコール
67
425
新栄ワコール
(
韓国)
25
13
,
776
タイワコール
34
10
,
198
台湾ワコール
50
10
,
373
07
PERFORMANCE
K
eY FIGURes
主要数値情報
163.5 165.5 171.9 171.0
165.2
12 11 10 09 08
3.8 4.4 10.4
9.8 13.3
12 11 10 09 08
2.3 2.7
6.0%
5.8 8.1
78.5 77.7 79.6 77.2
68.9
12 11 10 09 08
48.0 46.9 46.3%
45.2 41.7
2.5 2.8
6.9
5.1 4.8
12 11 10 09 08
17.5 19.7
49.1円
35.6
34.3
売上高 十億円
営業利益/営業利益率 十億円/%
販売管理費/ 売上高販売管理費率 十億円/%
当社株主に帰属する当期純利益/
1株当たり当社株主に帰属する当期 純利益
十億円/円
0 8
百万円 増減率
2012年、2011年及び2010年3月31日に終了した事業年度 2012 2011 2010 2012vs2011
売上高 ¥171,897 ¥165,548 ¥163,548 3.8%
営業利益 10,377 4,401 3,829 135.8%
販売費及び一般管理費 79,629 77,716 78,524 2.5%
税引前純利益 10,207 3,927 3,155 159.9%
当社株主に帰属する当期純利益 6,913 2,785 2,475 148.2%
ROA 3.1% 1.3% 1.1%
ROE 4.1% 1.6% 1.5%
営業活動によるキャッシュ・フロー ¥ 10,060 ¥ 10,441 ¥ 9,463 –3.6%
投資活動によるキャッシュ・フロー (3,467) (703) (3,573) 393.2%
財務活動によるキャッシュ・フロー (2,824) (4,965) (5,363) –43.1%
現金及び現金同等物 29,985 26,316 22,328 13.9%
総資産 221,098 215,276 222,889 2.7%
1.5 1.6
ROE 4.1
2.9 2.6
1.1 1.3 ROA
3.1
2.2 2.0
12 11 10 09 08
171.9 167.5 171.5
166.8 184.1
12 11 10 09 08
77.1 77.8 77.6%
78.0 76.7
22.3 26.3
30.0
22.0 27.1
9.5 10.4 10.1 8.2
14.2
12 11 10 09 08
222.9
215.3 221.1 213.8
240.1
12 11 10 09 08 ROA/ROE
%
株主資本/株主資本比率 十億円/%
営業活動によるキャッシュ・フロー/ 現金及び現金同等物
十億円
総資産 十億円
0 9
円 増減率
2012年、2011年及び2010年3月31日に終了した事業年度 2012 2011 2010 2012vs2011
普通株式1株当たり情報
当社株主に帰属する当期純利益(基本的) ¥ 49.08 ¥ 19.73 ¥ 17.51 148.8%
現金配当 28.00 20.00 20.00 40.0%
株主資本 1217.57 1189.08 1,217.15 2.4%
ブラジャーの販売枚数(万枚) 4,180 3,900 ̶ 7.2%
研究開発費(百万円) ¥801 ¥815 ¥778 –1.7%
CO2排出量(トン) 6,297t 7,635t 7,859t –21.2%
廃棄物排出量(トン) 1,169t 1,170t 1,230t –0.1%
人 連結従業員数
ワコール事業(国内) 7,229 7,241 7,453 –0.2%
ワコール事業(海外) 7,520 7,004 6,349 7.4%
ピーチ・ジョン事業 364 422 467 –13.7%
その他 1,411 1,346 1,417 4.8%
合計 16,524 16,013 15,686 3.2%
連結女性従業員数 11,208 10,660 ̶ 5.1%
社外取締役比率 37.5% 37.5% 42.9%
1 0
stRAteGY
FROM TOP MANAGEMENT
トップ・メッセージ
ワコールグループは、
「女性と共にある」企業として
確固たる使命感を持ちながら、
「相互信頼」の精神で
持続的成長を果たしていきます。
「相互信頼」を基調に「女性と共にある」ワコールグループ
1946
年の創業以来、ワコールグループが一貫して企業目標に掲げてきたのは「世の女性に美しくなって貰う事によって広く社会に 寄与する」ということです。この目標に向けて企業活動を行う中、 経営の基本として常に存在しているのが「相互信頼」の精神で す。人と人とが「互いに信頼し合う関係」を積み重ねることで、皆 が幸せになれるという考え方で、当社とお客さまとの関係のみな らず、対従業員、対社会などあらゆるステークホルダーとの関係 性において「相互信頼」の厚い、人間尊重の会社を築き上げるこ とを理想としています。
また、創業から半世紀以上の歳月が流れる中、当社はそれぞ れの時代において要求される製品、愛される商品を作り続けな がら企業価値の向上に努める一方、商品をご利用いただく世の 女性と「相互信頼」を築く、
CSR(
企業の社会的責任)
活動にも積 極的に取り組んできました。
2001
年には「女性共感企業」を宣言し、すでに10
年以上が経 過しました。いつも女性と共にあることが、ワコールグループの存 在意義であり、女性の共感を得るためのモノづくりは、社会の共感を得るための活動でもあります。例えば、「ワコール人間科学研
究所」では、
50
年近くにわたり「女性のからだ」に関する基礎研究を続けています。研究成果はさまざまな形で製品開発に生かされ ています。
2010
年4
月には「からだのエイジングと美の法則」(
詳し くは、P.23
をご覧ください)
に関する研究発表がマスメディアに取り上げられるなど大きな話題となり、ワコール独自の存在感を示 すことができました。
今後もワコールグループは、「女性と共にある」企業として確固
たる使命感を持ちながら、「相互信頼」の精神で持続的成長を果
たしていきたいと考えています。
2012
年3
月期の業績報告当期
(2011
年4
月̶2012
年3
月)
のワコールグループの連結業績は、売上高
1,718
億97
百万円(
前年同期比3.8%
増)
、営業利益103
億
77
百万円(
同135.8%
増)
、当社株主に帰属する当期純利益69
億
13
百万円(
同148.2%
増)
となりました。 株式会社ワコールホールディングス1 1
中期経営計画の概要
売上面では、ワコール国内事業において、ワコール人間科学 研究所の研究成果「からだのエイジング」に基づいた商品展開 やプロモーションが、消費者へ効果的に訴求できたことで、主力 アイテムであるブラジャーやボトム商品が順調に推移したこと や、ワコール海外事業において、為替変動の影響があったものの 米国事業や中国事業での売上拡大のほか、ピーチ・ジョン事業 の業績回復により、前期を上回りました。
一方利益面では、中国事業の損失計上に加え、ルシアンの厚 生年金基金脱退に伴う損失が生じたものの、ピーチ・ジョン事業 の収益構造立て直しによる黒字化と、主力のワコール国内事業 の好調により、前期を大幅に上回る結果となりました。
2
年目が終了した中期経営計画の進 状況2010
年4
月にスタートした3
カ年の中期経営計画は、2
年目を終えました。営業利益については、
1
年前倒しで目標値を達成するなど着実な成果を上げることができました。まだ残された課題はあ るものの、計画達成に向けた取り組みの方向性に間違いはない と確信しており、今後もさらに力強く推進していく考えです。
ワコール国内事業は、インナーウェア卸事業の構造改革を継 続的に推進した結果、収益構造が大きく改善し、営業利益は大きく 回復しました。特に百貨店など販売の現場における人員配置の適 性化や在庫削減などの取り組みが奏功しました。また、エイジン グ 研究を生かしたプロモーション活動は、ワコール商品の持つ 価値の再認識につながり、お客さまからの支持が高まりました。さ らに、直営店舗を展開する小売事業やインターネット販売などの
通信販売事業も順調に成長し続けています。
ワコール海外事業は、米州事業は現地通貨ベースで売上高が
前期比
11
%増と好調に推移しました。欧州事業も、ワコールフランスが当期に初めて黒字に転換しました。一方中国事業は、売上高
は店舗数の拡大で前期比
21
%増となったものの計画値には至らず、また利益面でも出店拡大による販売管理費増加の影響を受
け、赤字となりました。しかし中国は、ワコールグループの今後の成
長を考えると最も重要な地域であり、引き続き利益の確保を視野 に入れながら、ブランド認知度の向上に注力していく方針です。
期間
2010
年4
月̶2013
年3
月グループの将来像
グループとして「世界のワコール」を目指す
数値目標(2013年3月期)
連結売上高
190,000
百万円以上営業利益
8,000
百万円以上3カ年グループ方針
•
グループ各社が連携し、各社の強みを発揮することにより、ワコールグループの総合力を高める
•
グループ収益額を確保し、その拡大を図る–
インナーウェア卸事業を中心とした構造改革–
国内・海外成長分野での拡大加速•
グループとしての経営体制を強化する3年後に目標とするグループの姿
•
既存インナーウェア卸事業以外の売上・収益の柱ができている
•
海外事業(
米国・中国他)
が成長を支えている•
インナーウェア卸事業の構造改革が進み、収益構造が改善している
•
グループ経営体制が整備強化されている12
2
期連続で損失を計上していたピーチ・ジョン事業は、売上高が前期比
20
%増になるとともに、利益面でも営業損失から脱し大幅な黒字回復となりました。しかしながら、
2009
年3
月期の売 上高150
億円、営業利益13
億円という業績水準から比べると、まだ物足りない状況であり、一層の収益力強化に取り組んでいき ます。
その他事業では、
2010
年に完全子会社化したルシアンが、厚生年金基金脱退に伴う費用発生を除くと、実質的には大幅な利 益改善が実現できました。
このように、事業会社各社の収益構造改革は順調に進展して いると評価できるものの、売上高に象徴される成長力の回復につ いては課題を残しています。今期
(2012
年4
月̶2013
年3
月)
は、利益面において当期以上の水準を目指すと同時に、売上高の拡 大へと舵を切っていきます。
中期経営計画の最終年度に向けた施策と戦略
今期は、中期経営計画の最終年度です。当計画は、「変化と挑戦」
をテーマに、従来のビジネスモデルから脱却を図り、安定的な収 益確保を実現するとともに、新たな成長エンジンの確立を目指す
という強い決意を持ってスタートしました。計画スタートから
2
年間の成果を冷静に分析すると、課題は残るもののこれまで取り 組んできた戦略・施策の方向性に間違いはなかったと認識して
います。最終年度は、「原点に立ち返った強みの強化」と「グロー
バル視点での対応力の強化」を基本方針に、目標達成に全力を 尽くします。そして今期を、
2013
年4
月から始まる次期中期経営計画に弾みをつける足場づくりの
1
年と位置づけます。ワコール国内事業は、連結売上高の大半を占めることからも、 売上の維持・拡大は不可欠です。国内では直営小売やインター ネット販売といった重点領域を明確にし、成長への取り組みを加 速させつつ、今後は製造分野の構造改革にも本格的に着手しま す。また、エイジング 研究で成功を収めたように、ワコールの持 つ強みを生かしながら、新しい需要を生み出す本物の価値を 持った商品やサービスの開発も強化します。これにより、ワコール 商品の高い価値をお客さまにご理解いただくことができれば、私
たちが目指す「原点に立ち返った強みの強化」が実現できると考 えています。
ワコール海外事業は、ワコールグループの成長ドライバーで す。中期経営計画の売上高目標を達成する上でも、また将来ビ ジョンとして掲げる「世界のワコール」を実現する上でも、事業拡 大のスピードアップを図ることが重要だと考えています。ワコール
グループの海外展開は、関連会社を含めた事業会社が
30
社、現地売上高は
596
億円、そのうち米州地域が106
億円、欧州地域が12
億円、香港含む中国地域が93
億円、中国を除くアジア地域が385
億円といった規模となっているものの、「世界のワコール」を目指す当社にとっては未だ道半ばです。
今後、海外事業の拡充に向けて、「米州」、「欧州」、「中国」、
「中国以外のアジア」の
4
つの地域に分類し、各々の地域特性に応じた戦略を実行していきます。また「ワコール」がグローバル ブランドとして確固たる地位を築けるよう、全体最適の視点から 地域間の連携を図り、より強力に事業が推進できる体制を整え ていきます。
海外戦略の中でも、中国事業の加速は最優先課題です。中国 市場の大きさを考えると、ワコールグループの成長余地は大きく 残されています。そのため、ワコールブランドの認知度向上とシェ ア拡大を図るための経営資源の投入は、収益構造を見直しなが ら引き続き積極的に行っていく考えです。
一方欧州では、
2012
年4
月、英国ノーサンプトンシャー州に本社を置く、
Eveden Group Limited(
以下「Eveden(
イヴィデン)
社」
)
の全株式を取得し、子会社化しました。Eveden
社は、女性用 インナーウェアや水着製品を製造販売しており、英国を中心に欧 州、北米、豪州、アジアなど50
を超える国々で5,000
以上の販売 網を有しています。幅広い体型やサイズに対応した、高品質で ファッション性の高いランジェリーや水着の製造で優れた技術 も有し、当社グループではカバーしきれない商品群を擁していま す。将来的にも、両社の経営資源を相互に活用することで相乗効 果が期待できます。同社の買収は、ワコールグループにとってグ ローバル化への加速と中期経営計画の達成に大きく寄与するも のと考えています。stRAteGY
13
着実な進展をみせるグループ総合力の強化
ワコールグループの総合力を高めるという、中期経営計画のグ ループ方針は、相応の進展がみられたと評価しています。営業利 益目標の前倒し達成は、各事業会社の経営体質改善が進んだこ とに加え、グループ間の連携が強化されたことも大きな要因で す。具体的には、事業会社ワコールによる各社への研究開発支 援、ルシアンや関係会社による生産支援、七彩による売場開発支 援・什器供給などです。今後もさまざまな領域でグループ各社が 連携することで、国内事業はもとより、海外事業の拡大を加速し、 「世界のワコール」を実現する力にしていく考えです。
こうしたグループ間の連携を高めていく上で、持株会社である ワコールホールディングスの役割は非常に重要であり、グループ
全体を貫く「横串」として、目指す方向性を示し、成長戦略を検討・
推進していきます。加えて、各事業会社の役割・課題をモニタリン グしながら、グループ間の資源配分を決定し、連携をサポートす る役割も担います。持株会社の意思決定が、ワコールグループの 命運を左右するとの認識で取り組んでいきます。
現在ではピーチ・ジョン、ルシアン、そして今年
Eveden
社が加わり、グループの体制はかなり整ってきたと感じています。持株会 社トップとしての役割を果たすべく、全体を俯瞰しながら各社が 構造的に抱えているさまざまな課題に光を当て、解決に向けた取 り組みを進めていきます。
「世界のワコール」への確かな足取りで前進を
中期経営計画で目指す将来像は、「グループとして世界のワ
コールを目指す」です。「世界のワコール」とは、社是にある言葉
ですが、ここには「相互信頼を基調とした 格調の高い社風を確
立し」という言葉もあります。この当社経営の原点である「相互信 頼」を常に念頭におきながら、私たちの商品が世界中の女性に
受け入れられることが、「世界のワコール」のあるべき姿を示す
ひとつの答えだと考えています。私たちの商品が世界中のマー ケットで販売され、誰もが親しんでいるブランドへ。それぞれの 地域社会に根付き、現地の人々に愛される存在に。それこそが 「世界のワコール」の姿だと思います。その実現に向けて、これま
で当然のように考えていた、「高品質で機能性の高い商品」とい
う私たちの強みを改めて再確認する必要があると考えています。 ワコールならではの強み、お客さまに提供できる本物の価値を 世界に通用する形でもう一度つくり上げていきたいと思います。 私たちは、女性下着ビジネスという本業と、これに直結した
CSR
活動の推進により、「世の女性に美しくなって貰う事によって広く社会に寄与する」というミッションが実現できるものと確信し ています。
株主・投資家の皆さまには、今後とも一層のご支援とご理解を 賜りますようお願い申し上げます。
2012
年8
月14
2012
年3
月期の業績概要インナーウェア卸売事業は、ワコール人間科学研究所の研究成果「からだのエイジング」に基づ いた商品展開やプロモーションが、お客さまへ効果的に訴求できたことで、主力アイテムのブラ ジャーやボトム商品が順調に推移し、売上は前期を上回りました。
小売事業は、主に直営店「
AMPHI(
アンフィ)
」において、ブランド認知度向上による既存店の好調と新規出店の効果により、売上を伸ばしました。また、アウトレットモールで展開する「ワ コールファクトリーストア」は、一部で震災による店舗の被害があったものの、品 えの改善が 奏功し、概ね好調に推移しました。これらの結果、小売事業の売上は前期を上回りました。 ウエルネス事業は、スポーツコンディショニングウェア「
CW-X(
シーダブリュ−エックス)
」ブ ランドのスポーツ用タイツや、機能性を重視したビジネスパンプスが堅調に推移しましたが、震 災の影響でテレビ通販の売上が減少したことなどにより、全体の売上は前期並みとなりました。 通信販売事業は、カタログ販売が堅調に推移したことや、インターネット販売が伸張し、売上 は前期を上回りました。以上の結果、主力のインナーウェア卸売事業が順調に推移したことや、小売事業が拡大した
ことなどにより、ワコール事業
(
国内)
セグメントの売上は前期を上回りました。また営業利益も、売上増加に加え、売上原価の圧縮や販管費比率の改善が奏功し、前期を上回りました。
中期経営計画最終年度に向けた戦略
ワコール事業
(
国内)
においては、今後、次の3
つの重点施策を推進することで、売上の拡大と収 益性の向上を図っていきます。重点施策
1
̶国内インナーウェア市場におけるシェア拡大国内における売上の維持・拡大は、グループの持続的成長を目指す上で不可欠です。成長領域 を明確にした上で戦略・施策を遂行するとともに、事業会社ワコールを中心にグループ各社が連 携することで、国内インナーウェア市場及び周辺事業におけるシェア拡大を目指します。 収益の柱であるインナーウェア卸売事業では、お客さまへの訴求効果が高かった「からだの エイジング」発想に基づく商品開発を強化します。ワコールブランドでは、新アイテムの追加、発 信メッセージの強化により、またウイングブランドでは、エイジングの概念を活用したブランドの
再編により、それぞれ一層の売上拡大を図ります。また、ブラジャーの商品単価
2,000
円台を当社グループにとってのボリュームゾーンと位置づけ、チェーンストアや直営店を中心に商品ラ インアップを拡充することでシェアの拡大に努めます。今後、国内インナーウェア市場において は、エイジング関連商品の拡充とボリュームゾーンへの参入強化を両輪に、さらなるシェア拡大 に注力していきます。
PERFORMANCE OVERVIEW AND STRATEGIES
BY
seGMent
事業セグメント別営業概況と戦略
ワコール事業
(
国内
)
5,620
8,172
4,542
110,856 115,870
113,929
12 11
10
外部顧客に対する売上高/ 営業利益
百万円 売上高
1,158
億70
百万円前期比
4.5%
増
営業利益
81
億72
百万円前期比
45.4%
増
セグメント別売上高比率*
67.4%
1 5
重点施策
2
̶構造改革の継続実施と製造分野への展開現中期経営計画でも重要課題として取り組んできた構造改革が順調に効果を上げ、収益力の 改善を図りました。今期は、さらなる高収益体制の実現に向け構造改革を継続実施し、営業利 益率の向上を目指します。
今後の構造改革の重点は、これまで進めて来た流通、販売、企画設計のステージから、生産・ 材料調達を中心とした製造分野へと移ります。これは単に生産部門のコストダウンを目的とする ものではなく、ワコールグループ全体の生産体制や生産品目を俯瞰した上で、全体最適の視点 で生産システムの構築を目指すものです。今期中に、現状把握、具体施策及び目標数値の決定 を行い、次期中期経営計画から本格スタートを切ります。
重点施策
3
̶新たな売上の柱となる事業の確立新たな収益の柱として成長しているのが、小売事業やウエルネス事業、通信販売事業、メンズ インナー事業です。
小売事業では、ボリュームゾーンの商品強化とエリアコントロールを行うため、当期は各直営
店ブランドのポジショニングを見直しました。今期は、新商品開発を強化し、より幅広い顧客を
獲得することで、売上とシェアの拡大を図ります。
ウエルネス事業では、主力の「
CW-X
」について、顧客接点の拡大と商品アイテムの拡充を図ることで成長を加速していきます。直営店におけるブランドイメージの訴求強化とともに、イン
ターネットとも連動させながら、「
CW-X
」のファン層拡大を目指します。また今期は、大手医薬品メーカーとのコラボレーションにより、ドラッグストア向けにサポーターを展開するなど、新たな
分野へも進出します。
通信販売事業では、自社のインターネット販売サイトである「ワコールウェブストア」におい て、取扱商品の拡充と幅広いサイズへの対応など、店頭では実現できない圧倒的な商品構成に より、あらゆるお客さまのニーズに応えていきます。また、お客さまの使い勝手を高める取り組みと して、ウェブサイトのさらなる改良やスマートフォン対応アプリの展開などにより、顧客の拡大と定
着を目指しています。
メンズインナー事業では、大手得意先との連携によるシニア層への商品力強化により、売上 拡大を図っていきます。
1 6
2012
年3
月期の業績概要(
主な海外事業)
米国では、主力販売チャネルである百貨店でのシェア拡大に加え、周辺国やインターネットでの 売上拡大に取り組みました。当期は、値頃感のあるブラジャーや補整機能のあるボトム商品が 好調に推移したほか、インターネット販売も計画を上回る伸びとなりました。この結果、米国事業 の売上高は、為替の影響を受けつつも前期を上回り、また営業利益も売上の増加に加え、原価 低減に伴う売上利益率の改善によって、増益となりました。
中国では、商品力の強化と内陸部を中心とした店舗の拡大に取り組みました。売上について は、政府による不当表示規制に関する行政指導の影響により、主力販売チャネルである百貨店 への入店客数が急激に落ち込んだことに加え、他社商品との差別化や販促活動が不十分だっ たこともあり、増収とはなったものの伸びは鈍化しました。営業損益は、出店拡大による販管費増 加の影響もあり、営業損失となりました。
中期経営計画最終年度に向けた戦略
海外事業は、ワコールグループの成長エンジンであり、売上拡大のスピードアップが課題です。 そのためにはワコールグループ各社がそれぞれの市場において着実な事業拡大を図るととも に、グループとしても市場の変化に対応できるグローバル規模での全体最適を追求していく必 要があります。これにより、中・長期的には、グループとして最適なグローバルネットワークを構 築し、その基盤の上で各国各社が独自の強みを発揮できる体制をつくりあげます。
今後は、「米州」、「欧州」、「中国」、「中国を除くアジア」の
4
つの地域に分類し、地域ごとの責任 と役割を明確化した上で、売上拡大に向けた地域別戦略をスピーディに推進していきます。さら に地域ごとの課題や地域間連携についても、それぞれの成長と全体最適の観点からコントロー ルをしていく方針です。
2012
年4
月に全株式を取得し、子会社化した英国Eveden
社については、米国などグローバルに事業を展開していることから、ワコールグループ全体との戦略的シナジーが期待できます。 また、チュニジアとスリランカに生産拠点があり、今後グループのアジア戦略や生産戦略におい
ても重要な役割を担う力を持っています。さらに、商品面での補完関係や、サプライチェーンの効 率化など、さまざまな観点からグループシナジー創出に向けた取り組みを開始します。
PERFORMANCE OVERVIEW AND STRATEGIES
BY
seGMent
ワコール事業
(
海外
)
売上高
213
億96
百万円前期比
6.9%
増
営業利益
14
億40
百万円前期比
8.9%
増
1,322
1,440
1,616
20,010
21,396
19,295
12 11
10
外部顧客に対する売上高/ 営業利益
百万円
セグメント別売上高比率*
12.5%
17
地域別事業戦略
米州事業
米州では、当社が強みとする中高級品市場において、主力のワコールブランドと自社ブランドの 「
b.tempt d by Wacoal(
ビーテンプティッドバイワコール)
」を両輪に、マルチブランド戦略を推進します。ワコールブランドは高機能を生かしたボトム商品である「シェイプウェア」や「デイ ウェア」の商品力強化により、また「
b.tempt d by Wacoal
」は米国内シェアの拡大とブランド価 値の向上により、それぞれ売上の拡大を目指します。また、両ブランド共に、カナダ、ブラジル、メ キシコなど周辺国での拡大を図り、米州及び欧州地域を横断して商品を展開するグローバル ブランドとして育成していきます。さらにインターネット販売についても、
2010
年の立ち上げ以来、順調に拡大している「
Wacoal Direct
」を強化し、店頭販売と合わせたマルチチャネル販売を推進します。生産面では、欧州向け製品の生産も視野に、ドミニカ工場の品質・生産性の向上を図っていきます。
欧州事業
欧州では、「シェイプウェア」に代表される機能性商品が市場で認められ、ワコールブランドの
評価が高まりつつあります。フランスでは、専門店シェアの向上や百貨店事業の効率化により、 一層の収益拡大を目指しています。
また、
Eveden
社は欧州市場において、大手インナーメーカーとしての地位を確立しており、同 社の流通及び販売インフラを活用することで、新たな顧客接点の拡大と商品力強化に取り組ん でいきます。中国事業
中国では、売上が拡大していますが、利益面では未だ先行投資段階にあり、営業損失を計上し ています。今後は売上の拡大と同時に、利益の確保が課題です。売上の拡大については、引き続 き広告宣伝活動によるブランド認知度の向上に努めながら、専門代理店チャネルを活用するこ とでシェア拡大を図ります。さらに中国人間科学研究所との連携強化で、中国の女性にマッチし たきめ細かい商品開発を推進するとともに、中価格帯のボリュームゾーンをターゲットとした新 ブランド展開により顧客層を拡大していきます。
収益性の改善については、原価率の低減に向け、自主企画商品の拡大を図ると同時に、 ワコールグループ各社の機能活用や材料選定の見直しも進めていきます。
中国を除くアジア事業
アジアでは、タイ・台湾・インドネシアの拠点を活用し、合弁会社も含めたグループ・サプライ チェーンの取り組みによる収益力を強化するとともに、新たな生産インフラの拡充に向けた検 討も行っていきます。
この他、アジア圏の新興国市場への進出としては、今後インド市場への参入方法と時期を検 討していきます。
9,167
10,527
7,943
12 11
10
11,382 11,783 11,703
12 11
10
売上高推移(アジア)
百万円
売上高推移(米州及び欧州)
百万円 b.tempt d by Wacoal
1 8
2012
年3
月期の業績概要ピーチ・ジョン事業は、カタログ発行時期の見直しに伴う販売スケジュールの変更などが奏功 し、主力の通販カタログの販売が順調に推移しました。国内直営店は、前期に比べて店舗数が 減少したものの、キャンペーン効果や品 えの改善により既存店が好調に推移し、売上は前期
を上回りました。海外直営店は、中国で展開している
7
店舗がやや苦戦しましたが、香港に出店している
2
店舗が好調に推移しました。これらの結果、当期のピーチ・ジョンの売上高は、前期を上回りました。
営業損益は、中国の事業展開に伴う費用の増加や毎期計上している名簿償却費の影響があ るものの、売上の回復に加え、前期に実施した事業所統廃合による人件費や固定費の削減、売 上原価率の低減などにより国内事業の収益改善が進んだことにより、前期の赤字から当期は黒 字に転じることができました。
中期経営計画最終年度に向けた戦略
2
期連続の営業損失から黒字転換を果たしたピーチ・ジョンの今期の経営方針は、「引き続き国内の構造改革を推進し、継続的な高収益体制を実現する」ことです。国内事業については、 「販売施策の進化と売上拡大」を推進します。具体的には、成果が現れてきた顧客ニーズに
合った商品企画の強化と戦略的な広告宣伝により、ピーチ・ジョンブランドの復権を図ります。 さらに、通信販売におけるノウハウを進化させ、売上拡大を目指します。特に全面リニューアル を実施したインターネット販売は、継続的に改良を行い、来訪客の購入率を高めていきます。
中国事業については、不採算店のスクラップを行ったことで、上海に
4
店舗、北京に2
店舗となりましたが、これら直営店事業及びインターネット販売の売上拡大に取り組み、早期の黒字化を 目指します。
香港事業では、商品調達、在庫拠点としての機能強化と、日本及び上海ピーチ・ジョンの拠点 との連携強化により、納期短縮と効率的な商品デリバリーを実現し、売上拡大と原価低減を図り ます。
ピーチ・ジョン事業
PERFORMANCE OVERVIEW AND STRATEGIES
BY
seGMent
売上高
138
億36
百万円前期比
19.5%
増
営業利益
5
億29
百万円 前期は28億79百万円の損失–2,879 529 –1,592
11,575
13,836
13,079
12 11
10
外部顧客に対する売上高/ 営業利益(損失)
百万円
セグメント別売上高比率*
8.0%
ピーチ・ジョンのカタログ
1 9
2012
年3
月期の業績概要(
主な子会社)
ルシアンルシアンは、主力のインナーウェアについては、大手得意先との共同開発商品の展開により、売 上が好調に推移した一方、アウターウェアは不採算商品の絞り込みにより、売上は前期を下回り ました。これらの結果、当期のルシアンの売上高は前期並みとなりました。営業損益については、
事業ベースでの収益改善は着実に進んだものの、厚生年金基金脱退に伴う損失を計上した影 響もあり、営業損失となりました。
七彩
マネキンの製造販売やレンタル、商業施設の設計や施工を行う七彩は、物販が好調に推移しま したが、百貨店の売場改装工事が一巡したことに加え、震災による取引先の投資抑制やイベン ト中止の影響で短期のマネキンレンタルが苦戦し、売上は前期を下回りました。営業利益につ
いては、経費削減に努めたものの、売上減少の影響が大きく、前期を下回りました。
中期経営計画最終年度に向けた戦略
ルシアン
ルシアンは、全ての事業において利益率を高め、安定的に黒字となる事業構造を構築すること が喫緊の課題です。今後、インナーウェアについては、主要チャネルであるチェーンストアに対し
て、プライベートブランドや大手得意先との共同開発商品など、より付加価値の高い商品の投入
を強化していきます。アウターウェアは、利益率の低い商品から撤退し、ワコール人間科学研究 所の研究成果を生かした高付加価値商品の開発に取り組みます。
生産面では、アジア地域での生産体制を強化します。生産能力の増強に加え、品質管理体制
の拡充などによって、より安定した海外生産インフラの構築を目指します。その上で、グループシ
ナジーを最大限に発揮するため、ルシアンの生産インフラをワコールグループのサプライ チェーンに組み入れるとともに、同社の取り扱うレース材料のグループ企業への供給力も高め ていきます。
七彩
七彩は、収益力向上が課題です。同社は、マネキンボディ製作や売場施工を軸とした付加価値 の高い商品開発とサービスが強みになっています。今後はコア事業であるマネキンレンタル事 業や内装工事事業の収益力向上により、安定的な黒字体質の定着を目指します。
その他事業
売上高
207
億95
百万円前期比
10.0%
減
営業利益
2
億36
百万円前期比
30.2%
減
338 236 –737
23,107
20,795
17,245
12 11
10
外部顧客に対する売上高/ 営業利益(損失)
百万円
セグメント別売上高比率*
12.1%
ルシアンの「らしいね」
ワコールグループの目標は、「世の女性に美しくなって貰う事によって広く社会に寄与する」ことです。
そのために、研究開発、生産技術、接客販売といった、すべてのビジネスプロセスにおいて、女性に共感される企業を目指しています。 「女性と共にある」ことは、事業展開に向けた「信念と情熱」でもあり、ワコールの存在価値そのものです。
A
sUstAInABLe
WACOAL
事業活動と一体化したワコールのサステナビリティ
20
Research and Development
Production Technology
研究開発̶ものづくりの原点 生産技術̶お客さまの満足をカタチに
世界中の工場拠点数
21
拠点
1人の女性からの測定箇所
158
世界中どこでも同一の品質
Made by
Wacoal
ワコールグループは、世界中に21の工場拠点があります。世界
中でワコール独自のものづくりの思想に根ざした「安全・安心で 愛される商品」の提供を徹底する「Made by Wacoal」こそが、 私たちの合言葉です。
ワコール人間科学研究所は、1964年の発足以来、延べ40,000
人以上のデータを収集してきました。世界共通の人体計測法(マ
ルチン式計測法)を採用し、1人の女性から158カ所の測定をして います。
女性のからだの計測データ(国内)
40,000
人以上
「女性共感企業」ワコールのビジネスプロセス
2 1
Consultative Sales
Supporting Women
接客販売̶個客専心の想い 世の女性̶社会との相互信頼づくり
リマンマブラジャーの利用人数
180,000
人
世界中で展開している売場数
15,000
世界中の店頭販売員数
8,200
人
ワコールでは、店頭販売員の呼称を「ビューティーアドバイ ザー」としています。世界中で展開する15,000の売場で、約
8,200人が、コンサルティングなどを通じた情報提供や製品の 販売を行っています。
1974年に社長直轄事業として始まったリマンマ事業。リマンマ
ブラジャーの利用人数は18万人にものぼります。また、セミオー ダーブランドとして、一人ひとりの女性の体型に合った下着を提 供するデューブルベ。3,030通りものブラジャーのサイズを設定 し、課題解決型の商品として存在感を高めています。
課題解決型商品のサイズパターン数
3,030
通り
2 2
ワコールの使命は、すべての女性の 美しくありたい との想いに 応えていくことです。人間科学研究所における膨大な計測データ は、当社のすべての活動の出発点となっています。
変わりゆく女性の美を追究
ワコール人間科学研究所は、
1964
年の発足以来、一貫して女性美に科学の光を当ててきました。スタッフは現在
37
人(
うち女性27
人)
、その研究領域は身体のフォルムや内部組織から感覚・生理・心理、生活スタイルなど、多岐にわたります。
4
歳から69
歳までを対象に毎年
1,000
人規模の身体計測を実施し、これまでに蓄積したデータは、延べ
40,000
人以上に及びます。こうした計測結果をもとに、
1965
年には日本人女性の美の新基準「ゴールデンプロポーション」を提唱。その後、各年齢層に 対応した「ビューティフル・プロポーション」
(1979
年)
、人それぞ れの美のバランス「ゴールデンカノン」(1995
年)
を発表するなど、 研究はさらなる深化をみせています。また同研究所では、現代女性の体型変化に関する研究を続け ています。
1992
年の「平成新人類」のレポートを皮切りに、2004
年には、
20
代女性のプロポーションを10
年前と比較した「現代女 性のからだの現実」を発表し、各方面で大きな反響を呼びました。五感と最新技術を駆使した研究
ワコール人間科学研究所では、メジャーによる実測
(
マルチン式計測法
)
、レーザー機器による非接触3
次元計測法などを併用し、 精度の高い計測を実現しています。また、運動時のからだの 動 き に関する研究も、スポーツ用高機能ウェアやサポートガードル の開発を支えています。開発過程では試作品の着用試験を繰り返し、かたち 動き つけごこち の徹底的なモニタリングを行います。五感と最新技 術を駆使した研究が、数多くのヒット商品を誕生させたのです。
中国ワコールでの研究開発
2002
年、当社は上海に「ワコール中国人間科学研究所」を新たに設立し、東北から華南地方の各地で中国人女性の人体計測を 行ってきました。それらのデータをもとに、中国人のからだとここ ろにフィットする商品開発に取り組んでいます。ワコールの「ものづ くり」は、中国ワコールにおいても、着実に「信頼づくり」につな
がっています。
815 801
778 768 766
12 11 10 09 08
研究開発費の推移 百万円
ワコール人間科学研究所による人体計測 ワコール中国人間科学研究所のスタッフ
A
sUstAInABLe
WACOAL
Research and Development
23
ラブ、エイジング。
からだのエイジングと美の法則
ワコール人間科学研究所のデータは、そ の規模に加えて、同じ女性の計測値を時 系列でたどれる点で、世界的にもユニー クなものです。これに基づき同研究所で は、加齢による体型変化に関する研究を 進めてきました。その重要な成果の一つ が、ボディラインには
3
度の 曲がり角 が あるという「 ス パ イラル エ イジング 」(2000
年)
の概念です。エイジングが一生 のテーマであることを浮き彫りにした研究 ともいえるでしょう。そして
2010
年及び翌11
年、バストやヒップの変化のステップを具体的に記述 した「からだのエイジングと美の法則」を 発表。これまで感覚的にしか捉えられな かった ボディエイジング の全体像を、こ こに描き出したのです。
正しい下着選びの重要性
加齢によるバストの変化は、順序を踏み ながら起こります。変化し始める年齢は人
それぞれですが、
20
代から始まっている人もいます。また、かたちだけでなく、バス
トのやわらかさも変化します。したがって、 ブラジャーを選ぶ際には、バストのサイズ だけでなく、かたち や やわらかさ も考 慮しなければなりません。そのため採寸し
たサイズが仮に同じでも、
20
代女性に合うブラジャーが、
40
代女性にも合うとは限 りません。また、ヒップの変化についても、同じ順序で変化が起こる点で、バストと共 通しています。
もっとも、加齢によるからだの変化には
個人差があります。調査では
25
%の女性が、歳を重ねてなお若々しいプロポー ションを維持していましたが、いずれも
「活動的な日常生活」、「規則正しい食生
活」、そして「からだに合った下着の着用」 を心がけていました。
エイジングとの付き合いは一生にわ たって続きます。ある年齢を境に突如降り かかる現象ではありません。どんな年代で も、正しい下着選びには「エイジング」の
発想が欠かせません。
当社では加齢によるからだの変化に対 応し、「ラゼ 」、「グラッピー 」、「 キュー ティー」、「キレイ」、「グレーシス」などの ブランドで商品開発し、提供しています。 また、
2010
年秋冬シーズンからは「ラブ、エイジング。」キャンペーンをスタート。 「未来の体型を映し出す鏡」と銘打った
「ラブエイジングミラー」
*
を全国の店舗に巡回させるほか、
iPhone
対応の診断ア プリの開発など、クロスメディア的な啓発 活動を展開しています。社会的資産
「世の女性に美しくなって貰う事によって広 く社会に寄与する」というワコールの目標 は、人間科学研究所の研究を通して、今も ワコールの活動の根底を流れています。 女性のからだの研究で、世界をリード する実績を挙げてきた人間科学研究所。 科学から得た普遍性や妥当性を備えた
新しい知識を、「技術」として応用していく
研究開発プロセスは、まさにワコールの 技術経営の中核をなします。そしてその膨 大なデータは、それ自体が、当社の社会 に対する多面的な寄与を可能にする「社 会的資産」なのです。
* 店頭に設置された等身大のパネル。中央部がスクリーン
になっていて、タッチパネルの簡単な操作によって、お客さ まの10̶30年後のバストの姿をシミュレートし、画面に映 し出します。結果はプリントアウトして、ご自身の下着選びに 役立てていただくことが可能。
A
sUstAInABLe
WACOAL
Production Technology
生産技術̶お客さまの満足をカタチに
24
ワコールグループの推進する品質管理は、「世界中どこでも同じ ワコール」を可能にしました。当社の生産体制を日々担っている のは、まさにグローバルに構築された「相互信頼の輪」です。
世界中が「ワコールの工場」
ワコールの海外進出は、韓国・タイ・台湾などに合弁会社を設立 した
1970
年に ります。それから40
年が経過し、当社はいまや約40
の国と地域で事業を展開、海外拠点の数は33
にのぼります(2012
年3
月期末時点)
。製造面では、世界中に工場が21
拠点(国内の
8
拠点含む)あり、例えばブラジャーの約8
割が海外で生産されています。
日本でも中国でもベトナムでも、ワコール独自のものづくりの 思想に根ざした「安全・安心で愛される商品」の提供を徹底する こと̶
Made in Japan
でもMade in China
でもない、「Made
by Wacoal
」こそが、私たちの合言葉です。当社が掲げる経営目標 「世界のワコール」は、生産体制の面ですでに達成されつつあるのです。
すべての源は品質へのこだわり
こうしたダイナミックな事業展開を支えているのが、徹底した品質 管理です。
1997
年3
月、ワコールは国内業界で初めてISO9001
の認証を 取得しました。また、品質保証に関するグループ最高の機関として「品質保証審議会」を設置しているほか、「品質保証規程」によっ
て、品質の維持向上に向けた基本方針や要求事項を定めていま す。さらに、グループの各事業会社ではこれに対応するかたちで、
「品質保証細則」を設け、「品質管理委員会」を設置し、グループ
全体で一貫した取り組みを実施しています。
新製品の企画開発の段階では、安全性・外観・着用性など多 様な側面から「期待要求品質」を明らかにした上で、この基準に 沿って試作品を制作し、モニター着用テストや科学的性能評価 など、いくつもの検証項目をチェックしています。
生産現場には、縫製要領のほか、ミシンの針やアタッチメント
に関するさまざまなノウハウが蓄積されています。各工場ではこう した「匠の技」を最新の技術インフラのもとに生かし、厳格な品 質管理を実施しています。そして最後に、総合的な品質検査をク
リアした完成品のみが、ワコール商品として店頭に並ぶことにな ります。
一切の妥協を排した細部へのこだわりがあってこそ、複数の 国にまたがって生産する場合でも、一様で高品質の「
Made by
Wacoal
」が実現できるのです。ワコールグループ海外事業会社一覧 2012年3月31日現在
米州 米国 ワコールインターナショナル株式会社
株式会社米国ワコール
ワコールスポーツサイエンス株式会社 株式会社ワコールダイレクト ルシアン U.S.A.
カナダ 株式会社ワコールカナダ
ドミニカ ワコールドミニカーナ株式会社*
欧州 フランス 株式会社ワコールフランス
イギリス 英国ワコール株式会社
オランダ ラインテックス B.V.
アジア シンガポール ワコールシンガポール株式会社
香港 株式会社香港ワコール
株式会社ワコールインターナショナルホンコン 株式会社ピーチ・ジョン香港
中国 ワコール(中国)時装有限公司*
広東ワコール有限公司*
上海雅蝶時装有限公司*
ワコール中国人間科学研究所有限公司
大連ワコール時装有限公司*
上海披琦炯商貿有限公司
大連露香時装有限公司*
浙江嘉興露香紡織有限公司*
上海露香統括商貿有限公司 娜娜彩(上海)商貿有限公司
ベトナム 株式会社ベトナムワコール*
ルシアンベトナム*
韓国 株式会社新栄ワコール*
タイ タイワコール株式会社*
台湾 台湾ワコール株式会社*
和江留投資有限公司
フィリピン フィリピンワコール株式会社
インドネシア インドネシアワコール株式会社*
マレーシア 株式会社ワコールマレーシア